※ただし、あたしは大嫌い。
「―――で、そしたらさ…」
帰り道、いつもと同じように若宮と二人で歩く。
今まであんまり意識していなかったけど、すれ違う女の子、みんな若宮のこと見てる。
そりゃそうだよね。
若宮かっこいいもん。
コソコソ、こっちを見ながら何かを話している人もいる。
…何であんな子と歩いてるんだろ、って話してるのかな?
少し茶色がかった髪の毛。
パッチリとした二重に、肌なんてあたしよりよっぽど綺麗。
通った鼻筋に少し口角があがった唇。
誰が見ても「イケメン」っていう容姿。
それに比べてあたしは…
「―――なんだけどどう思う?」
「え!?」
前を向いて喋っていた若宮が、突然あたしの方を振り向いてそう聞いてきた。
「…えっと…何が?」
「…お前、さっきから全然人の話聞いてないだろ」
「…ごめん」
「ったく、俺に見惚れてんじゃねーよ」
「はぁ!?」
グイッとあたしの手を握った若宮は
「バーカ」
そう悪戯っぽく笑った。