※ただし、あたしは大嫌い。
菅野くんが逃げ込んだ屋上までようやくあたしが辿り着くと、菅野くんと若宮が対峙しているところだった。
「お前だな、Sは」
若宮が確信した口調でそう言うと、気まずそうに菅野くんが頷く。
「…どうして?」
菅野くんとは同じクラスだけど、席も遠いしあんまり話した記憶もない。
あたしの記憶ではひたすら真面目で、こんなことする人には思えないのに―――
「如月さんが…」
菅野くんはゆっくり顔をあげて、あたしを見ると
「若宮なんかと付き合うからだよ」
「…え…」
「コイツなんて顔だけだよ!こんなチャラ男、如月さんを幸せに出来るはずない!!!!」
「…ちょ、菅野くん?」
「俺じゃダメ!?」
一歩、あたしに近づいてくる菅野くん。
「い、一回落ち着こ?」
「若宮と別れてよ…如月さんを幸せにできるのは俺だ!!!
俺しかいないんだ…!!!」
そしてあたしに飛び掛かろうしてくる。
「ちょっ…!!」
「っお前、ふざけんなよ!?」
あたしに飛び掛かるギリギリのところで、若宮が菅野くんの襟首をつかみそのままフェンスに押し付けた。