※ただし、あたしは大嫌い。
誰かに思い切り腕を引かれて、木にぶつかる寸前のところで止まった。
「っぶねー」
見ると呆れ顔であたしを見下ろす若宮が。
「え、あんた女子とイチャこきながら先に行ったはずじゃ」
「お前のことだから何かやらかしそうだと思ったんだよ」
はぁ、と若宮の吐く息が白い。
「いいか?優しい俺が教えてやる。
スキーっつーのはケツじゃなくスキー板で滑るもんだ」
「知ってるからそんな事!!」
「それが助けてくれた奴にとる態度か??」
…ゔ。
確かに、若宮が助けてくれなかったらあたしは今頃木に激突、もしかしたら鼻血ダラダラの悲劇だったわけで
「……ありがとう」
「……ん」
若宮がぶっきらぼうに手を差し出す。
「つかまれば?」
「………ありがとう」
……なんか優しいじゃん。
若宮のくせに。
そんなことを思いながら手を取った。