※ただし、あたしは大嫌い。
「え、何…」
「とにかく違うから!変な誤解すんなよ」
「…分かった」
という事にしといてやろう、とりあえず。
「じゃぁあんたの好きな子って誰?」
「…あ?」
「言ってたじゃん、スキー実習の時。“すげー好き”な子がいるんでしょ?」
「………あぁ」
少し不貞腐れたように、そっぽを向く若宮の耳が赤い。
…へぇ…マジで好きなんだな。
「誰誰!?」
若宮にこんな顔をさせる女の子のことが、単純に気になった。
「………気になんの?」
「そりゃーね!あんたみたいなひねくれ者が恋するお相手なんて、想像出来ないもん!」
「…ひねくれ者で悪かったな」
不機嫌そうに片眉だけピクッと動かした若宮は急に鋭くなった瞳であたしを見ると
「…言っていいわけ?」
「……は、え、な、何この手は…」
あたしの両脇に手をつき、再び距離を詰めてきた。