アイドル逃走劇
「本物?」
「偽物に見える?」
ぎゅうぎゅうな状態で、至近距離でウインクなんて反則だよ。
「面倒なのに追われちゃってさ、助けてよ」
「いや、今女子会中なんですけど」
「バックれて!」
ってそんな簡単に。
でも……そんなリアル芸能人オーラバンバン出されて、見つめられたら断れない。
将君目当てに見てる番組だってあるんだから。
いやいや、そういう事じゃなくて、いくら好きなアイドルったって一応私彼氏持ちだし。
頭の中を目まぐるしく色んな事が回転して、クラクラしてくる。
そんな私の手を取って、将君が言った。
「時間も無いし頼むわ」