時計の針の行方
じつは、この男。あわよくば、となりの席になることを期待しており、そこから、内海 隼人サクセスストーリーが始まる予定であった。

まずは、美空が隣りの席に座る。そして、内海が優しく声をかけて、新天地の寂しさを紛らわせて、良いところを見せようと我策していた。
しかし、内海は、一番前の真ん中の席。対して、美空は窓側の後ろから二番目と、話しかけるにもかけられない状況だった。

「うん、留学生の紹介も終わったことだし、授業に入ろうか。じゃあ、まず、教科書52ページを開けてーー」
長い長い授業の始まりだ。
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