時計の針の行方
「………まあ、一矢報いる…ってのも悪くはないかな…」
そう言って、ハヤトはすぐさま自分のポジションに戻った。
まだ試合は終わってない。
最後まで気を引き締めてやりたかった。
何故か、清々しい気持ちだった。 体の疲労とは逆に。
ピーーーーー!!!
笛の音がなる瞬間、相手はGKを除く全員で攻撃してきた。
もはや、時間はほとんどない。
これが最後のワンプレーだろう。
そもそも、このまま逃げ切れば試合に勝てる。
ただ、彼らの顔つきは完全に“勝負師”の顔つきへと変貌していた。
やられたらやり返す。
プロ顔負けの意識をもって攻めてきたのだ。
B組の前線にいる選手は、すぐにボールを奪おうとプレスを仕掛ける。
しかし、見事なパスワークで次々と抜かれていく。
中央にいた選手は、左サイドを走っていた選手に大きなパスをだした。
左サイドを走っていた選手は、パスを見事にトラップし、すぐさまペナルティエリアへと走り込んだ。
それを止めるべく、ハヤトはすぐさまボールを持つ選手に向かってダッシュした。