時計の針の行方

そのようなことを考えながら、ハヤトは教室へと着いた。
上江田は、体操服から制服に着替えている途中だった。
ハヤトも、自分の席に掛けてある鞄を取り、制服を取り出して着替え始めた。

着替えながら、ハヤトは上江田に訊く。

「なあ、さっきの話の続きだけど…
なんで、日常が好きなんだ?」

上江田は、シャツのボタンを止めながら答える。

「うーん…なんでって言われてもなあ…
お前は、いつものような日常が嫌なのか?」


「そりゃ、嫌に決まってるさ。
毎日、毎日、刺激のない日常なんてゴメンだよ」


「内海、そう言うけどな、日常からいきなり非日常になったらどうする?
結局は、日常が恋しくなるんだぜ」

ハヤトは「あ」と言葉を漏らした。
しかし、それには構わないで、ベルトをキツく締めながら上江田は話を続ける。