時計の針の行方
「勉強?やだよ、さすがに勉強だけは勘弁だなー」
上江田は、右手で頭を掻きながら答えた。
まあ、さすがに勉強嫌いなだけのことはある。
少し残念だけど… まあ、しょうがないか。
「オッス! ハヤト、今日の約束忘れてないよね?」
鞄を取り、立ち上がろうとしたら、後ろから元気な声が掛った。
振り向いて見ると、美空の隣りに、温和しくて男子からもそこそこ人気な 工藤 由衣(くどう ゆい)の姿があった。
「ああ、忘れてないぞ。
今日は、工藤さんも一瞬に勉強するの?」
工藤は、コクリと頷いて「よろしくね」と小さく言った。
ふーん…
美空は、もう友達ができたのか…
社交性があるようで羨ましいよ。
「あ、あの、僕も一緒に勉強していいっすか!?」
その様子を見ていた上江田が、いきなり声を大にして美空に言った。