時計の針の行方
「そうだな。先に食べながら待ってるか」
上江田の了解を得られたと同時に、ハヤトはカレーライスを食べ始めた。
香辛料の適度な辛さがなかなかに美味しい。
この学食で人気のあるメニューの一つだった。
「なあ、上江田。
お前は今年の夏休みどう過ごす?」
ハヤトは、うどんを美味しそうに啜っている上江田に話し掛ける。
上江田はちゅるん、とうどんを吸い込むとハヤトの方を向き、口を開いた。
「多分、今年の夏もサッカー漬けだろうな。
夏には大切な大会もあるし…
まあ、大抵は一回戦敗退だけどな」
タハハ、っと愛嬌のある顔で上江田は笑う。
自虐も混じってるその言葉にも、重苦しい空気を作らないことができるのが彼の長所だった。
「そうか、頑張ってくれよ」
ハヤトは、上江田に激励の言葉を掛ける。
だが、その言葉があまりにも月並だったため、しっかり相手に伝わるか不安だった。
「おう、ありがとうな」
良かった。
しっかり伝わってるみたいだな。