時計の針の行方

「遅れてゴメンね~
購買が思ったより混んでて遅れちゃったー」

工藤の声がハヤトの左側から聞こえてきた。
ハヤトは、カレーライスを食べるのを中断して声がした方向を見る。
パタパタと可愛らしく走る美空と工藤。
尋常じゃないパンの量を除いては可愛らしかった。


「いえいえ!滅相もない!
僕たちも、ついさっき来たばっかりなんですよ。
まあ、とりあえず座ってください」

美少女二人に、最も早く反応したのは上江田だった。
二人は上江田の発言に甘えるように、席へと座る。

結果、上江田と向かい合わせで座るのは工藤となり、ハヤトと向かい合わせで座るのは美空になった。


「いやぁ、先に頂いててすみませんねえ。
いや、実はね、内海がお腹空いたから早く食べたい、とか言い出すから、断るのも可哀相だったんで先に頂いてました」

饒舌で捲し立てる上江田。
ハヤトは、無視するようにカレーライスを食べていた。


「へえー、上江田クンって結構優しいんだねー
内海クンも、あまり食べ過ぎたら、メッだよ」

……
俺はいつから食いしん坊キャラになったんだよ。
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