時計の針の行方

天然は可愛い。
ただ、話が通じにくい。
それが天然の欠点だ。
あとな、上江田。

自分の恋愛を成就させたいが為に、人をダシに使うのはやめろ。
今は工藤さんが目の前にいるから黙っといてやるが、工藤さんがいないときは許さないぞ。

ハヤトは無言でカレーを食べ続ける。
心ではいろいろ思っているのだが、それを言葉にはしなかった。
単純に、〝面倒〟だからだ。

その光景をしばらく見ていた美空が口を開く。

「やっぱり、ハヤトって食いしん坊なんだね」


……
そういえば、昨日も食いしん坊とか言われたな…
いや、それはどうでもいい。
それよりも、この尋常じゃないパンの量だ。
今から四人でパン食い競争するとしても、量が多すぎる。

たまらず、ハヤトは美空に訊いた。

「なあ、この尋常じゃないパンの量はなんだ?」
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