時計の針の行方

美空は、クリームパンを齧りながらハヤトの方を向く。
表情は、なにかおかしいの?と言いたげな表情だった。


「ん?どうしたのハヤト?
もしかして、パン食べたいの?」

ハヤトは昨日から見事に、美空と自分の思考が一致しないのに驚いていた。
相思相愛に最もかけ離れた二人だな。と、心の中で実感していた。


「あのさぁ…美空…
お前って甘い物好きだったよな?
けどさあ、限度というものがあると思うぜ。
少しは、工藤さんを見習ったらどうだ?」

工藤が今日の昼食に買ってきた物は、トマトサンドイッチにコーヒーだけだった。
元々、小食なのだろう。
これで足りるのか、と心配になるくらいの量だったが、美空は逆の意味で心配になった。


購買で買ってきたパンが全部菓子パンだったのだ。
最も多かったのはクリームパンだ。
十個以上あるパンのほとんどを占めているのが、クリームパンだった。


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