時計の針の行方


「ということらしい。
俺は、それでOKだが美空も構わないか?」

ハヤトは美空に返事を促した。
美空は先ほどから、一所懸命、口に詰め込んでいるクリームパンを飲み込み、ハヤトの問いに答える。


「うん、私もOK!
上江田君、素敵な提案ありがとう!」

美空からお礼を言われる上江田。
当然の如く、満更でもないような表情の上江田。

全く、先ほどから羨ましい上江田だ。


「じゃあ、俺たちは先に勉強してるから」

ハヤトはそう言うと、左横に置いてあった鞄を取り、数学と世界史の教科書とノートを取り出した。
ハヤトは、特に数学が苦手だった。
一番、赤点取る可能性が高いのは数学。
それは、ハヤトの中で絶対に覆ることのない法律みたいなものだった。
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