時計の針の行方
まず、世界史から勉強することに決めたハヤトは、一番頼りになりそうな工藤に範囲を訊く。
「工藤さん、世界史って、どこからどこまでが範囲か教えてくれるかな?」
「えーと、教科書38ページから84ページまでだね」
……
マジですか?
「えっ?工藤さん、マジで言ってる?
46ページも覚えなきゃいけないの?」
工藤はコクっと頷いた。
元々、冗談を言うタイプではないので、信用していたのだが、さすがにハヤトは耳を疑った。
残り三日で46ページ丸暗記。
しかも、それだけではなく、国語、数学、英語、地理、家庭科を覚えなければならない。
元々、堪え性の無いハヤトにとって、とてもじゃないが無理な相談だった。