時計の針の行方
ハハッ……
自分でもおかしいと思うぜ
〝生きる意味〟を考えるなんて
どこの哲学者気取りだよ。
ハヤトは確実に変わってきていた。
以前は、“人生について”なんて、大それた考えを持つことは一切なかった。
「おい、内海。
さっきから同じページばっかり見てどうしたんだ?」
上江田の発言で、ハヤトの思考は中断された。
先ほどから、同じページを開いていたのが不審に思ったのだろう。
「ん?いや、ちょっと考え事をしていてな…」
「へえ、お前も真面目に勉強するんだな」
上江田は小さく笑った。
工藤もクスクスと笑っていた。
ハヤトもつられて笑ってしまった。
ただ、一人だけ美空は笑っていなかった。
なにか、思い詰めたような表情で、クリームパンを美味しくなさそうに食べていた。