時計の針の行方


「そっか…そうだよね」

残念そうに俯く美空。

まあ、どっちにしろ俺が消えるのは確定してるんだから、今更こんな話されてもなあ…

しかし、美空から意外な言葉が返ってくる。

「いいんだよ。あなたはこの世界にずっといても」



はぁ?

「おいおい、よくないだろ。
この世界にいたら、死んだとき世界が永遠に止まるんだぜ?
何を今更…」

そこまで言いかけたところで、ハヤトは話を中断した。
美空がいきなり、ハヤトの胸に顔を押さえ付けたからだ。


「ヒック… だ、だって…
楽しそうにお喋りするハヤトを見て、消せると思う?
大切な人に囲まれているハヤトを見て、消せると思う?
そんな姿を見て消せるほど…
私は鬼畜じゃないよ!」



そう言って美空は、俺の胸元で泣き始めた。

……

俺は黙って抱き締めた。
「バカッ…バカッ」と微かな声が胸元から漏れてくる。

……
コイツも悩んでたんだな。
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