時計の針の行方
「なあ…いい加減泣きやめよ…
俺は、自分の立場ぐらい理解してるつもりだから。
消える運命でも、それを受け入れられない子供じゃないんだから安心しろよ…」
美空は黙って泣いていた。
ハヤトは、そのまま話を続ける。
「少なくとも、消されるからってお前を恨んだりしないし、
第一、お前に出会ってから、俺、ホントに変われたんだぜ?
今までダラダラと生きてきたけど、様々なことに深く考えることができるようになったのはさ、美空のおかげだと思うんだ」
「だからさ、そう泣くなよ。
お前が悪いわけでもないんだから…」
後ろの窓から、二人に爽やかな風がスースーと当たっていた。
青々とした空。
蝉の泣き声が二人を包んでいた。