時計の針の行方

突然の声に、内海は振り向く。
そこには、今日紹介された、留学生の〝美空 彩〟がいた。
「なんで付き合わないといけないんだ?」
内海は、目を細めながら美空に問う。
先ほどは、優しい言葉をかけて不安を紛らわせようと考えていたのだが、美空のいきなりの言動に戸惑いを隠せなかった。
なんで、こいつは俺にいきなり話しかけてきたんだ?
つーか……なんで俺の名前を知っている。
疑問は尽きなかった。

「いいから。いいから帰り付き合って。大事な話があるの」
少し、キツい口調で言った。ちょっと怒っているような。そんな印象を内海に与えた。
しかし、具体的な説明もしてもらえなく、内海は納得していなかった。
しかも、先ほど強気な口調で言葉を浴びせられて、少々腹立っていた。