時計の針の行方

ハヤトは、食堂から廊下へと通じるドアを開き、昇降口へと向かった。
廊下の壁に貼ってあるポスターを素通りしながら、ハヤトは黙々と歩いていた。

昇降口へ着くと、ハヤトは上履きから外靴へと履き替え始めた。

美空も、ハヤトに置いてかれないように、急いで靴を履き替える。
美空の履いてきた靴は、紅をモチーフとした花柄の可愛らしい靴だった。

ハヤトは、靴を履き替えて校舎を出た。
その歩き途中、ハヤトは美空に話しかける。


「どうだ?学校は慣れたか?」
美空を優しく気遣うハヤト。
ただ、心配はあまりしていなかった。
美空の社交性のある性格ならば、何等心配もないと感じていたからだ。


「うん、周りも良い人ばかりだし、学校には慣れたよ」

いつものように明るい笑顔で答える美空。
ハヤトは、その笑顔を見るだけで安心できた。
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