時計の針の行方
「あれ?もしかして、照れてる?」


「照れてない」



「またまた~照れてるんでしょ?」


「照れてない」


「もう、ハヤトは強情だなぁ…」

美空は、ヤレヤレといった表情をする。


どっちが強情だよ…


そのような会話を続けているうちに、先ほどまで歩いていた道路が、すっかり砂利道へと変化していた。
喫茶店もすっかり通り過ぎており、家まで残り数分で着くような距離だった。


「美空、俺、今日夜メシ食わないから」


「なんで? ちゃんと夜ご飯食べないと痩せちゃうよ?
いつも、食いしん坊のハヤトがいきなりどうしたの?」


……

「いや、疲れただけさ。
食いしん坊な俺は、朝に腹一杯食うからって。
そう、母さんに伝えといてくれないか?」
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