時計の針の行方
「もう、制服をその辺に脱ぎっ放しにしちゃ、ダメでしょ」
ハヤトが着替えてるのを横目に見ながら、美空は脱ぎ捨てられていたハヤトの制服を畳み始めた。
わざわざ、正座してキッチリと畳むその姿は、良妻になる素質を秘めていた。
「後で片付けるから放っておけよ」
美空は、ハァ、と一つ溜め息をついた後に、ハヤトの目を見つめながら言った。
「今、出来ることは今やっとかないと、後で自分が後悔することになるんだよ」
…
真面目だなあ…
「生憎だが、俺はO型なんでな。
元々、ずぼらなんだよ」
「へぇー ハヤトってO型なんだー
私は、B型なんだよ」
エヘヘ、と笑いながら美空は言う。
「下らん、俺はもう寝る」
そう言いながら、ハヤトは下のベットの中へと潜り込んだ。
大変疲れていた為、本格的な眠りへと誘うのに、時間はかからなかった。
その間、美空は一所懸命にハヤトの制服を畳みながら、小さな声でこう言った。
「おやすみ、ハヤト」
部屋の中に夕日が静かに差し込んでいた。