時計の針の行方


「もう、制服をその辺に脱ぎっ放しにしちゃ、ダメでしょ」

ハヤトが着替えてるのを横目に見ながら、美空は脱ぎ捨てられていたハヤトの制服を畳み始めた。

わざわざ、正座してキッチリと畳むその姿は、良妻になる素質を秘めていた。


「後で片付けるから放っておけよ」

美空は、ハァ、と一つ溜め息をついた後に、ハヤトの目を見つめながら言った。


「今、出来ることは今やっとかないと、後で自分が後悔することになるんだよ」



真面目だなあ…


「生憎だが、俺はO型なんでな。
元々、ずぼらなんだよ」



「へぇー ハヤトってO型なんだー
私は、B型なんだよ」

エヘヘ、と笑いながら美空は言う。


「下らん、俺はもう寝る」

そう言いながら、ハヤトは下のベットの中へと潜り込んだ。
大変疲れていた為、本格的な眠りへと誘うのに、時間はかからなかった。

その間、美空は一所懸命にハヤトの制服を畳みながら、小さな声でこう言った。


「おやすみ、ハヤト」

部屋の中に夕日が静かに差し込んでいた。
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