時計の針の行方
赤点が数学一つだけというのは、不幸中の幸いだった。

上江田は、先ほどから漢字の書き取りを行っていた。
課題を終わらせないと帰れないだけあって、さすがに必死な様子だ。


ミーン、ミンミンミンミンミンミーン。


……
あ、後もう少しだ…


ハヤトは、最後の一問を必死に解く。
シャーペンを持つ手が、汗ですっかり滲んでいた。


よし、できた!!

ハヤトはすぐさま、教卓の椅子に座っている北条先生に、課題を提出しに行った。


「先生、今日の分の課題終わりました。
これで帰っていいですか?」
北条は、渡された課題にすぐさま目を通し、答えた。


「ああ、いいよ。お疲れ様」
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