時計の針の行方
校舎から出た瞬間、ドンヨリとした暑さが体を包む。
教室の方が、まだいくらか涼しかった。
……
暑い…さっさと帰りたい…
ハヤトは校門を出て、太陽に照らされているアスファルトを踏み締めながら、ハヤトは思う。
ーー残り一ヶ月もないのか…
夏休みの期限ではない。
この世界に、存在することができる猶予期間である。
気付いてみれば、一ヶ月過ぎるのは本当に早い。
ハヤトは、ひしひしと実感していた。
結局、いつも通りの日常を過ごしてるだけだな、俺。
美空が来てからの一ヶ月。
ハヤトは、いつもと変わらない平凡な日々を過ごしていた。
そもそも、日常を変えるのは、そう容易いことではない。
ましてや、ハヤトのような行動力の無い人間にとって、いきなり日常を変えるのは不可能に近かった。