時計の針の行方
彼は、胡桃学園、二年B組の二時限目の授業を受けている最中だった。


いや、〝参加している〟と例えたほうが、分かりやすいだろうか。



なぜならば、彼は、黒板の文字をノートに書き写すわけでもなく、授業の内容を理解しようとしているわけでもなく、ただ単に〝時計〟を見つめていただけだからだ。



周りが必死に黒板の字を書き写している間に、一人だけ時計を見つめているのは、他から見たら異端だろう。
< 2 / 159 >

この作品をシェア

pagetop