時計の針の行方
ウエイトレスが、丁寧にコーヒーとオレンジジュースを置く。
ウエイトレスがいなくなるのを確認すると、美空はオレンジジュースをストローで飲み始めた。

かわいいじゃん…
内海は、オレンジジュースを美味しそうに飲んでいる美空を見て、女の子らしいな。と思った。

「あぁ、先ほどの話だけど… 実は、私、別の世界から来たの」





あぁ、そうきますか。
さっきから話をはぐらかされたと思ったら、そういう冗談を言ってきますか。
私は心を大にして言いたい。
話をはぐらかしてんじゃねーよ。と。
さっさと、俺の名前を最初から知っている理由を教えろ。と。

「ふーん…別の世界からきたんだ… なんていう星からきたの?」
もはや、俺の言葉には、やる気がなかった。
あそこまでかったるい思いをしてまで、冗談を聞かされてるハメになるとは思わなかったからだ。

「はぁ?星?あなた、私のことバカにしてるの?」

おぉ、これが今流行りの〝逆ギレ〟か。

あれ、ちょっと待てよ。
コイツは切れてるけど、俺は切れてない。
ということは、ただ切れてるだけなのか。
そうか。そうか。納得したよ。

「ねえ、聞いてるの?私はさっきから大事な話をしているんだけど」

美空の声は、冗談でもなんでもなく本気だった。
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