時計の針の行方
「つまり、同じ瞬間でも選択肢によって世界が変わるってことか?」

「うん。そういうこと。
例えば、織田信長がこの世に生まれてなかったら?
今川義元が上洛を果たしてたら? 歴史は変わってきちゃうでしょう?」

は?なにを言ってるんだ。このお姉様は。
戦国ヲタなのか?
言っとくが、歴史は超苦手科目だから、信長がどうやって、今川なんたらを倒したのか分からないぐらいだぞ。

「んー、まあ、ようするに、今日の出来事で例えると、美空は、俺を帰りに誘ったよな?
けど、もし、誘わなかったら別の行動を俺はとっていた。そのいくつかの選択肢で、別々に現実が進む。
こう理解したが合ってるか?」

美空は、ホットケーキを細かくナイフで切り分けながら答える。

「えぇ、理解できたみたいね。それがパラレルワールドなの。
で、私は別の現実世界から移動して、あなたのところに来たわけ」
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