時計の針の行方
おいおい… 猶予?
なに?その犯罪者的扱い?
俺、なんかしたか?
つーか、むしろ、なんにもしなさすぎて怒られてるんだが…
「ねぇ、聞こえなかった?〝あなたには2ヶ月の猶予を与える〟って言ってるの。何度も言わせないで」
……
猶予ねえ…
「なぁ、美空。猶予ってなんだ?俺、悪いことしたか?テスト勉強すら面倒でやらないような奴が、悪いことなんてできると思うか?」
素直な疑問を美空に問い掛ける。
まあ、多少、自虐も混じっているのだが…
「あなたは、この世界にとって、〝存在自体〟が悪なの」
すっかり、アイスが溶けかかっているパフェを食べながら、美空は答えた。
ねえ、つーか、俺の存在全否定?
この世界の悪?じゃあ、魔王みたいなものじゃねえか。
さしずめ、あなたは勇者ですね。 なにこの違い。
妄想もいい加減にしろってんだ。
「2ヶ月過ぎたら、俺みたいな悪者はどうなるんだ?
可愛い可愛い勇者さんよう」
もはや、内海の口調は変わっていた。
確かに、上手くこの世界に来た理由を説明できてたとは思っている。
だが、2ヶ月の猶予を与えるとか何様だよ。
内海は、美空の話を完全に信じることができなかった。
むしろ、信じたくなかった。
二か月しか猶予が残ってない…
それを考えると、嫌でも否定的でいたかった。