時計の針の行方

魔法?
その言葉で、内海は多少期待した。
俺が、魔法を使えるのか?
どういう魔法だ?炎の魔法か?それとも水や氷の魔法か?
内海がいろいろと考えている間に、美空は言葉を続ける。

「あなたには、〝この世界の時間を止める〟能力があるの」
予想以上の高能力の魔法に、内海は心の中で飛び跳ねた。

時間を止める?スゴいじゃん。
だって時間だぜ? 火は道具を使えば誰にでもだせるし、氷なんてすぐに作れるし。
ただ、時間は道具を使ったも止められない。
今まで、誰も時間を止めたことがない。
てか、時間が止められるのならば、2ヶ月の猶予なんていらないよな…

「ただし」美空は、右手の人差し指を上に突き付けて、手を内海の顔の前まで持ってきて話を続ける。
「あなたの意識があるあいだは、時間を止めることができないの」


え?じゃあ、さっきから、時間よ止まれ。と念じてたのはムダだってこと?
なにそれ。今どき、時間が止まるように必死に願う奴なんて、小学生でもいねーよ。

内海は、期待に膨らんだ胸が一気にぺしゃんこになるような気分になった。
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