時計の針の行方
「ということは、俺がこうやって時間を止まるように念じてたのは、完全なムダ、ってことか」
内海の言葉を聞いた美空は、手を腹に押さえて大笑いした。
「キャハハ!あなた、そんなこと考えてたの?
できるわけないじゃん!!」
机に突っ伏して、笑いを必死に堪える美空。
その様子を見て、美空に話したことを心の底から後悔した。
それと同時に、自分の魔法がとてつもなく役に立たないことに絶望していた。
「なあ、俺の能力のなにがヤバいんだ?果てしなく役に立たない以外に、なにがあるんだよ」
その言葉を聞いた美空は、怪訝な表情を浮かべたあと、じっと内海を見つめる。
あれ… なんかヤバいことでも言ったかな…
「なあ、美空…なにかヤバいなら、はっきり言ってくれ」
「………もし…あなたが死んだら、この世界はどうなるか分かる?」
「あ」と、内海は声をあげた。
意識がある間は、時間は止まらないが、意識がない間は時間が止まる。
死んだら意識はどうなるか?もちろん、止まるに決まっている。
内海が死んだら、永遠にこの世界の時間は止まるのだ。
内海は、先ほどの軽率な発言を反省した。