時計の針の行方
内海は、手持ち無沙汰になっていた。
もはや、質問すべきようなことはなく、早くパフェを食べ終えてほしかった。
美空は、それに気付いたのか、スプーンでパフェをすくい、内海の顔の前に差し出した。
「ほら、あーん」
内海は、いきなりの美空の行動に困惑した。
「なんのつもりだよ…」
彼女なりの気遣いだろう。美空は、内海がまだお腹を空かせてると思っていた。
見事に、思考が一致していない両者。
「ほら、お腹空いてるんでしょ?」
内海は、なにか言いかけようとしたが、作戦変更することにした。
「ああ、パフェを少し貰っていいか?」
そういうと、テーブルの右端にあったスプーンを取りパフェを食べ始めた。
美空は、先ほどから内海の顔の前に差し出したスプーンを自分の口に入れる。
「そんなにお腹空いてたんだね。パフェ全部あげるよ」
そう言って、パフェの容器を内海の前に差し出した。
内海は、このパフェを食べ終われば帰れるという希望と、パフェが予想以上に美味しいという満足感に浸っていた。