時計の針の行方
内海はチョコレートパフェを食べ終わった。
甘い物はあまり得意ではないのだが、この喫茶店のパフェは、甘ったるくなく美味しかった。
たまには、パフェもいいもんだな…と、素直に思えた。
「じゃあ、もうそろそろ帰るか」
内海がそう言うと、イスに置いてある鞄と、机にある伝票を取って立ち上がった。
「あ、待って。私も払うよ」
お会計のことを心配した美空は、慌てて財布をだそうとする。
内海は、その光景を見て、クスリと笑い、財布をだそうとしている右手を優しく掴んだ。
「気にするなって。さっきパフェを貰ったお礼もあるし」
美空は、少し躊躇して、「でも…」と言いかけたが、ありがたく払って貰うことにした。
「ありがとう。次回は、私が払うから」
内海は、それを聞くと黙ってお会計を済ませに行った。
まあ、次回も俺が払うと思うけどな…
女の子に払わせるわけにもいかないし…
「1480円になります」
そう言われると、内海は1500円をレジに置いた。
おつりを受けとり、帰り際に「ありがとうございました」という声を背に受け止めながら店を出る。
その様子を確認してた美空も、内海と一緒に店を出た。