時計の針の行方

そらかぜ

店を出た瞬間、暑さが身を包んだ。
どうやら、先ほどの喫茶店内の温度に慣れてしまった体には、なかなかの衝撃だった。
「あちぃ…」

たまらず、言葉が口からこぼれる。

そりゃ、暑いだの、寒いだの、眠いだの言っても、暑いものが涼しくなったりはしないさ。
ただ、この暑さは異常だろ…

内海は、この暑さのなか走ったことを後悔していた。
走ったおかげで体が重い。
得体の知れない疲労感に包まれていた。
一方、美空は余裕の表情で、平然と歩いていた。

どっからくるんだよ…その余裕は…



家に向かって歩き始めて数分が経った。
内海は、相変わらず暑さに勝てる気がしなかったが、歩いてるうちに一つの疑問がわいてきた。

……
コイツ、家どこだ?

先ほどから同じ道を一緒に歩いている。
まさか、隣りに引っ越したわけでもないし…
疑問に思った内海は、美空に訊いてみることにした。

「なあ、お前の家ってどこだ?」

美空は、キョトンとした顔で答える。

「あれ?聞かされてないの?これから、あなたの家に2ヶ月間お世話になるのよ」




……
なんだって?
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