時計の針の行方

「なあ、母さん。やっぱ食べ切れないよ。この量は」

先ほどから、頑張って食べていた三人だったが、あまりにも多すぎる量に、全体で半分しか減っていなかった。
美空も、どうやらお腹いっぱいのようで、先ほどからあまり食べていない。


「あらあら、若いからいっぱい食べると思ったんですけどねえ…」
少々残念がる麗奈。
そう言う本人も、あまり箸が進んでいなかった。

「私も…麗奈さんのお料理は、とっても美味しかったのですが、もうお腹いっぱいです」
美空は申し訳なさそうに言う。

気にするな、三人で食べれる量ではない。


「俺は、もうお腹いっぱい食べた。自分の部屋に戻っていいか?」
そう言って、立ち上がり母親の顔を見る。
麗奈は、料理を見ながら少々困った顔をしたが、すぐにハヤトの方を向き、「休んでらっしゃい」と了承した。
その言葉を聞くと、ハヤトは美空の方を見ながら言う。

「美空はどうする?俺と一緒に部屋に戻るか?」
いまだに座っている美空にたいして、まだ話したいのかな?と疑問を抱いていた。


「ううん。私は、麗奈さんの後片付けを手伝ってからにするわ」
そう言って麗奈の顔を見る。

なるほど、話したりないって考えは、あながち間違ってなさそうだな。

「あらぁ~彩ちゃん優しくて、お母さん助かっちゃうわ~」
とっても嬉しそうに話してる二人を無視するように、内海は居間から出て行った。
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