時計の針の行方

ハヤトは、階段を降りて居間へと向かう。
居間に着くと、二人分の朝食が並んでいた。
目玉焼き、味噌汁、納豆に玄米ご飯。
日本の朝を感じさせる朝食だ。

「母さん、おはよう」

ハヤトは、洗濯物を畳んでいる母親に挨拶をした。
麗奈は、その声に気付いて振り向くと、ハヤトの耳元でそっと呟いた。

「ハヤトちゃん。朝から激しくしちゃダメでしょう?」


………
は?

なんだ?美空がベットから落ちたのを勘違いしているのか?

「激しくって…なにが?」

ハヤトがそう言うと、麗奈は顔を赤らめながら、人差し指でハヤトの鼻を、ちょんと一回押したあと答えた。


「もお…… みなまで言わせないの!」


ああ… 完璧に勘違いしているな。

ハヤトは、麗奈に言い訳をすることもなく、味噌汁を一口啜った。
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