時計の針の行方

美空は、ようやく味噌汁を飲み終わった。
食器をかたそうとしてたが、ハヤトが慌てて止め、「急いで着替えろ」と二人分の食器をかたし始めた。
美空は、すぐさま自分の部屋に戻っていった。

ハヤトは、二人分の食器を台所に置いておき、時間の確認をする。

…… 七時四十八分…

美空の着替える時間次第で、今日の運命が変わる。
間に合うか。それとも遅刻か。
間に合うことを願いながら、ハヤトは考えていた。

この分岐点が“パラレルワールド”なんだな、と。

遅刻したら、遅刻の結果が残り、いつも通り学校生活が始まる。
遅刻しなかったら、遅刻の結果が残らない。
それだけのことなのだ。
案外、パラレルワールドとやらも単純だな…とハヤトは思った。




ドタバタと階段の方から、音が近付いてきた。


やっと来たか…
ハヤトは、居間に置いてある美空のバックと自分のバックを取り、玄関へと歩き始めた。
玄関に着くと、靴を履き替えて美空を待った。
美空は、急いだ様子で玄関まで来て「お待たせ」と内海に声をかけた。

「ホント待ったぜ。ほら、靴を履いてさっさと行くぞ」

そう言った後、美空が靴を履き替えるのを確認してから鞄を渡した。
玄関のドアを開き、すぐさまハヤトは走った。
美空も、ハヤトに遅れないように少し遅れて走り始めた。

さあ、今日も忙しい一日の始まりだ。
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