時計の針の行方


「気をつけー、礼」
日直の号令と共にホームルームは終わった。
ハヤトは、終わったのを確認した後、後ろの席の上江田に話しかけた。


「あれで、ラブラブだと思うか?」


ハヤトは、少しゲンナリしながら上江田に言う。
すると、上江田は意外な言葉を返した。



「実際恐かったけど、今考えると羨ましいぞ。内海。
あんな可愛い娘に密着されて。 イイ感じに膨らんでいる胸も、お前の背中に密着されてたんだぞ」

熱心に。そして、多少早口で喋る上江田。


おい、上江田よ。
さっき、俺が首を締められているときにガタガタ震えてたよな?
なんで、今はこんなに余裕なんだ。
お前も一回、同じことされてみろ。
口が裂けても言えなくなるから。

内海は、一つ溜め息をつくと、英語の準備を始めた。
準備してる間に、後ろから「おい」と声がかかる。

「…なんだよ。変態……」


「変態とは失礼な。今日、小テストが返ってくるだろ?
俺、自信あったからジュース一本賭けて勝負しようぜ」
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