時計の針の行方
その後は一方的な展開が続いた。
ハヤトは、激しい動きで案の定、疲れ果てていた。
他のメンバーは、上江田の言うことを忠実に守り、ディフェンスには全く参加しなかった。
勿論、守りは上江田とハヤトだけである。
「ハッ…ハッ…」
ハヤトは良く頑張った。
しかし、体力に限界がきていた。
上江田も、先ほどからシュートをほとんど守っていた。
しかし、圧倒的な人数差ですぐにボールを奪われてしまう。
五分、十分と時間が経つうちに、どんどんと点差が開いていった。
0‐3 0‐4 0‐5 0‐6
遂には、六点差まで広がっていた。
先ほどの心地良い風を受け止める余裕が、ハヤトにはなくなっていた。
必死に走っても走っても、それは無駄な行為だということを身をもって知らされていた。
俺の人生みたいだな……
もはや、時間は残り五分を切っていた。
何度目の敵側のシュートだろう。
ペナルティエリアからのシュートを必死に上江田は掴む。