時計の針の行方
そして、すぐさまボールを渾身の力で蹴り、前線に送る。
上江田の息は荒かった。
走らないポジションとはいえ、何度も何度も、飛び付き、弾き、掴み、そのような全身運動を何度もしていた為、立つ体力も残っていなかった。
一回、ボールに飛び付くごとに、全身の運動神経が切れていった。
もはや、上江田の運動神経はズタズタに切れていた。
しかし、上江田は立ち続けていた。
どんなに負けても、どんなに差をつけられても、決して諦めるような真似はしなかった。
それが、彼の美学でもあり彼独自の抱負でもあった。
中央にいる味方は、上江田からのパスを受けとり、すぐさま二人を除く全員で攻め上がる。
相手のチームは、DFが四人と残っていなかった。