時計の針の行方
自チームの7番は、ドリブルでゴールまで突き進んだ。
完全な個人技だった。
今まで消極的なパスサッカーが嘘のような。
強く、速く、力強いドリブルだった。
そして、ペナルティエリアに入った瞬間、相手DFをかわし、右足で素早くシュートした。
ガンッ!!!
上のゴールポストに当たり、高く舞い上がる白黒のボール。
それを、身長190cmはあるだろうか。
長身の、ゼッケン5番のビブスを着ている選手が、すぐさまジャンプしてヘディングシュートをした。
そして、ゴール前でワンバウンドした後に、ボールはゴールへと吸い込まれていった。
1‐6
歓喜の声が味方選手から湧いた。
まだ負けている。 しかも、一点奪っただけだ。
しかし、ゼッケン5番の選手を取り囲むように、皆で騒ぎ、祝いあっていた。
ハヤトは、その光景を見届けた後、上江田に近付き、固い握手を交わした。
すぐさまハヤトの口から言葉が漏れる。
「やったな」
「どうだ?たまには本気で戦うのも良いもんだろう」
上江田は、ハヤトの肩を左手で、ポンポンと叩きながら言った。