虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
準備を手早く済ませ、外に出る。
藤堂さんは先に来ていた。
「お待たせしました」
「おぅ、んじゃ行くか」
二人とも喋らず黙々と歩き続ける。
賑やかな京の町とは違い、とても静かな空気がわたし達の周りを囲んでいる。
いや、静かというより・・・冷たい空気。
春なのに、冷た過ぎる冬のような雰囲気。
そのまま一言も口を聞かず町を突っ切る。
わたしは居心地が悪くなって下を見た。
なんで喋ってくれないんだろう・・・?なんか怒らせたのかな?