虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
すっと息を吸い、何かを思い出すように目を閉じる
「平汰は・・・僕の弟だ」
歴史でも語り継がれていない事実。
藤堂さんに弟がいたなんて・・・
でも・・・さっき、寝言で死んだって言ってた気がする。
「平汰は、昔から体が弱くて、外に出ることはできなかった。
20歳まで生きられないだろうって、言われてたんだ」
だんだん声が震えてきている。
病気のせいで体が弱ってきて、だから最後に外に出たい。
その願いを聞いて、町へ出た・・・それがいけなかった。