虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


すっと息を吸い、何かを思い出すように目を閉じる



「平汰は・・・僕の弟だ」



歴史でも語り継がれていない事実。


藤堂さんに弟がいたなんて・・・


でも・・・さっき、寝言で死んだって言ってた気がする。



「平汰は、昔から体が弱くて、外に出ることはできなかった。

20歳まで生きられないだろうって、言われてたんだ」



だんだん声が震えてきている。



病気のせいで体が弱ってきて、だから最後に外に出たい。


その願いを聞いて、町へ出た・・・それがいけなかった。


< 253 / 858 >

この作品をシェア

pagetop