虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
藤堂さんの呟く声に、顔を上げる。
すると、顔に何かが当たった。
「・・・」
あまりの冷たさに声が出ない。
その反応が面白かったのか、笑い転げている藤堂さん。
寒くなってきたわたしは、顔に付いた雪を払って、部屋に戻る。
部屋には火鉢が置いてあるため、かなり暖かい。
今日の巡察は午後からなので、もう時間がない。
「藤堂さん、巡察はいいんですか?」
わたしは、未だ部屋へ戻ってこない藤堂さんに声をかけた。