虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


いつの間に起きていたのだろう。


水を持った睦月が、布団の傍に座っていた。


口に含んだ水は・・・冷たかったけど、睦月の温かさがこもっているようで。


熱が上がるにつれて、なぜかその姿と平汰の姿が重なった。


重たくなってきた瞼を閉じて・・・意識を手放す直前。



「早く良くなってくださいね。藤堂さん――――」


『早く良くなってね。平助兄さん――――』



どこからか、平汰の言葉が聞こえた気がした。


それに重なって、聞こえた睦月の声。


それは、いつもと違って優しい、優しい声だった――――





*藤堂side end*

< 378 / 858 >

この作品をシェア

pagetop