虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
いつの間に起きていたのだろう。
水を持った睦月が、布団の傍に座っていた。
口に含んだ水は・・・冷たかったけど、睦月の温かさがこもっているようで。
熱が上がるにつれて、なぜかその姿と平汰の姿が重なった。
重たくなってきた瞼を閉じて・・・意識を手放す直前。
「早く良くなってくださいね。藤堂さん――――」
『早く良くなってね。平助兄さん――――』
どこからか、平汰の言葉が聞こえた気がした。
それに重なって、聞こえた睦月の声。
それは、いつもと違って優しい、優しい声だった――――
*藤堂side end*