虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
「きりーつ、きをつけー、礼!」
「ありがとうございましたー」
ガタガタと、イスを動かすけたましい音に、重たい瞼を開けた。
既に、担任の長い長いHRは終わっている。
・・・・・・そんなに長く寝ていたつもりはないんだけど。
最近何もやる気起こらなくて、正直わたし自身困っている。
桜が散り切りそうな枝を伸ばした空を、寝ぼけ眼で眺めた。
『無気力』
そんな言葉がピッタリなわたし、睦月鈴(レイ)。
150cmも無い、小さなこの身長のせいで、時々「君、中学生?」なんて言われるがれっきとした高校生だ。
高校一年生、入学早々居眠りなんてしてて大丈夫なのかって周りも思っているだろうけど、これは仕方の無い事だと思っている。