虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


「どこへ行くんですか?」



部屋を出ようとしたわたしに、背後から声がかかる。


その声は山崎さんだった。


前と変わらない抑揚のない声。


でも、いつもと違うことがあった。


それは・・・わたしを見る目が、困惑と疑惑の念を宿していたということ。



「もしかして・・・俺を治療してくれたの、山崎さんですか?」


「・・・そうです」



恐れていたことが起きた。


< 434 / 858 >

この作品をシェア

pagetop