虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
いつも通り、それが何だか嬉しかった。
歴史さえ変わってしまえば、これから先もこれが続くのかもしれない。
「なーに考えてんの?」
ぼーっとしてしまっていたみたいで、ハッと正気に返る。
藤堂さんとのいつも通りの時間が嬉しかったんです、なんて言えない。
・・・言えるわけない。
フルフルと首を振り、わたしは屯所の門前へと向かう。
そこには、既に隊士が整列していた。
そして、いつも通り巡察に出かける。
その日は、何事もなく帰ってきた。
これが――――『嵐の前の静けさ』だったのだと気付くのが・・・
わたしには遅すぎた。