虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


誇らしげな表情。


今から、死んでいく人とは思えなかった。



「明里には、笑顔しか見せない。

・・・おっと、そろそろ時間ですね」



と、おどけてみせる姿。


それが、涙でぼやけて見えなかった。



「明里、大好きでしたよ」



格子窓が、閉じられると同時に聞こえた声。


それが、山南さんの声を聞いた最後だった。



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