虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
「わたしね、平助君ほど好きになった人、初めてだったんです。
あの、桜の木の伝説、覚えてますか?
その伝説の女の人位、平助君のこと大好きだったんです。
だから――――」
その先は、嗚咽のせいで言うことが出来なかった。
わたしは、平助君の顔を見つめる。
ただ・・・ジッと見つめ続けた。
そして、ゆっくりと嗚咽がおさまるのを待つ。
スッと息を吸い、平助君にもう一度笑いかけた。