虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


「はは・・・夢か」



夢の中で、空を切った手の平を見つめる。


わたしの手には・・・あの髪紐が握られていた。



「何で・・・今、あんな夢見るかな・・・?」



声が、なぜか震えていた。


あの夢のせいで、平助君がもういないと、改めて思う。


空しくて、悲しくて・・・寂しくて。



「睦月、今だけは我慢しなくていいよ?」



優しく、微笑む一条。


その姿に、平助君が重なる。


< 772 / 858 >

この作品をシェア

pagetop